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マタギとは?大館市葛原地区に伝わる忠犬シロとマタギの定六物語

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マタギとは北海道、東北、関東、甲信越の山岳地帯で狩猟をして生活する狩猟民のことで、狩猟は大きな獣が中心で、熊やカモシカなどから猿やハクビシンなども捕獲します。

平安時代にも行われていたといいます。秋田県の阿仁マタギが有名です。

山立(やまだち)がなまって「マタギ」と言われるようになったというのが一つの説です。

源頼朝が行ったといわれる「富士の巻狩」でも大規模な狩猟が行われたということですが、このときにマタギが存在したという説があるようです。

マタギは現在は猟師と言われていますね。

マタギは独特の宗教観や生命倫理を尊んだということで、現在の猟師(ハンター)とは少々違うようです。

マタギとは?大館市葛原地区に伝わる忠犬シロとマタギの定六物語

大部分は山間部の大館市葛原地区、この地域にはマタギの定六と忠犬シロの悲しい話が残されています。

地域の人々が大切に守るシロを祀った老犬神社もあります。

忠犬シロとマタギの定六(さだろく) 秋田県大館市葛原地区

マタギの定六は獲物を追いかけることに夢中になり、他所の領地に入ってしまい、他の猟師に捕まって三戸城に連れていかれました。

代官所では定六の話は聞いてもらうことはできませんでした。

定六は他の領地でも猟ができる許し状(免状)を持っているのにこの日は持ってきていなかったのです。

許し状(免状)は定六の先祖が源頼朝公の富士の巻狩りで手柄をたてたので南部の殿からもらった巻物で、全国で狩猟が子孫代々まで許されるというマタギの免状でありました。

捕らえられた定六は重罪を言い渡されてしまい、シロは定六を助けようと許し状を取りに飛び出しました。

シロは来満峠を越え、草木にたどりつき、定六の妻に何度も何度も火のように吠えました。

定六の妻は何があったのかなだめてみましたが、シロは吠えるばかり。

わかってもらえなかったので再び険しい遠い山道を一旦戻ったシロでしたが、定六は許し状を持ってこなかったのでがっかりしました。

「シロ、あの仏さんの引き出しに入っている巻物を持ってきておくれ。あれがあれば助かるんだ」

シロは理解してもう一度草木にいき定六の妻に何度も吠えました。

あまりにも吠えるので、定六の妻ははっと思い、引き出しを開けるとそこには許し状が残っていたので、それをシロの首に巻き付けました。

シロは疲れも忘れて、急いで定六のもとに戻ったのですが、定六はすでに処罰を受けてこの世にはいませんでした。

シロは定六を思い、遠吠え続けてそこで息絶えてしまいました。

現在そこは「犬吠森」と言われています。

その後、シロの怨念による災いが続き、シロを祀る犬神社が建立されました。

定六の許し状は今でも残されており、この話は実話であるそうです。(参考・日本怪異 伝説事典 朝里樹監修・えいとえふ著 大館市HP老犬神社

Googleマップ 秋田県大館市葛原 老犬神社

結構な坂道を 登った先にありますが 、上に入って気が付いたのですが、 脇に車道があるので そちらからだと 楽に登れると思います。
ただせっかくなので 余裕のある方は 旅の思い出で参道を通って 登られるといいと思います。
神社はなかなか味わい深い 感じです。無人で古びていますが 周辺住民の方々が 綺麗にされているのも分かります。 お社に 『入ってお詣り下さい』と張り紙があり、中に入ってお詣りしてきました。
神社の由来も興味深いので、読んでから上がるると良いと思います。Googleマップクチコミより

静かに佇んでる感じです。
拝殿の中に入って参拝できます。

国道から集落へ入ると道は狭くなりますが、看板が設置されているので迷わず行けました。

駐車場から拝殿まではちょっとした山歩き。大きな杉の参道を180m進みます。「あと○m」と書いてあるので分かりやすいです。

山中の為、熊避けの鈴をならして参拝しました。Googleマップクチコミより

山人の自然学

自然というものは、人と共存して保たれるものだと感じています。

山で働いてきた爺ちゃんの言葉が心に残りましたので引用させてもらいました。

「人間が山で生きていくには、山を半分殺してちょうどいい具合になるんだぜ。

オレたちは、自然に負けたら生きていくことならねぇんが。自然の力を利用していかんばねぇんだぜ。もっともあんたのように都会で暮らしてる衆には、「山を・・・」なんていったってわからねぇと思うどもな。

山も人間もお互い欲を半分・・して、ちょうどいいっていうことだぜ。自然の力利用するなんていったって、そうそう問屋がおろさねぇごで。

そこにはさまざまなことが出てくるぜ。そこ考えねぇとこの意味は飲み込めねぇごで」

新編 越後三面山人記ーマタギの自然観に習うー著・田口洋美 第6章山人の自然学より引用

人が山や自然と上手くつき合っていくためにはどうしたら良いのか・・・を著者が村の爺ちゃんに問いかけた所、このように応えてくれたそうです。

まとめ

山深く自然の豊かな地域で昔から多くの人々が山の自然と一つになり暮らしてきたということがわかりました。

私の地元にも平安時代の巻き狩りの伝説が残されていて、英雄である源頼朝が大きなイノシシと出くわした話(曽我物語)、山々の様子、多くの人が体験した様々な興味深い話があります。

人は自然や山の獣たちと共生してきました。そしてこれからの時代もそうしていかなければならないのだと思います。

「昔は人の山に勝手に入ってタケノコを採ったり、山菜を採ったりしたけれど、今は人の山に勝手に入るとダメなんだよね」

これは90代の人が言っていた話です。

「ダメだけど、だから台風が来ると道路に竹が倒れて困ったことになっているね」

と私が言いました。

自然というのは人の手も必要だと思いますし、自然と人は共生していくものだと思います。

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