ずっと昔から変わらない「恋をする」ということ。
我が街に残る平安時代後期の源頼朝の恋物語の伝説を読んで、それが本当のことかどうかはわからないくても、その伝説に描かれている恋心は今の時代の恋心と何も変わらないのだと気づきました。
「おもしろい!」昔の人たちも思うようにいかない恋心に嘆き、もだえ、喜びを感じていました。
街の本屋さんで良い本と出会い、おもしろかったので一気に読んでしまいました。
「眠れないほどおもしろい恋する古文」ー王朝の美女と貴公子篇ー板野博行著
眠れないほどおもしろい恋する古文[王朝の美女と貴公子篇]【電子書籍】[ 板野博行 ]
【眠れないほどおもしろい恋する古文】昔も今も変わらない恋する気持ち
「眠れないほどおもしろい恋する古文」から蜻蛉日記(かげろうにっき)の男と女のすれ違いの気持ちの歌を紹介します。
今の時代でしたら、気軽にメールやLINEを送ったりしますが、【おとなの恋愛】でしたらこんな昔の歌をさりげなくメールに入れてみるのも良いかもしれませんね。
でも今回紹介するのは、夫の浮気に苦しむ平安時代の主婦(?)藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)の話です。
本には恋心を語った恋物語が、分かりやすく書かれていますので、大昔から変わらぬ恋心を感じることができるでしょう。
『蜻蛉日記』(かげろうにっき、かげろうのにっき、かげろうにき)は、平安時代の女流日記。作者は藤原道綱母。天暦8年(954年) – 天延2年(974年)の出来事が書かれており、成立は天延2年(974年)前後と推定される。上中下の三巻よりなる。題名は日記のなかの文「なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心ちするかげろふの日記といふべし」より。Wikipedia
藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)は、夫の藤原兼家(ふじわらのかねいえ)との結婚生活で、兼家のもう一人の妻である時姫に対する気持ちや他にも数々の浮気を繰り返す夫への恨みなどを『蜻蛉日記』(かげろうにっき、かげろうのにっき、かげろうにき)に書いています。
本当にもやもやと苦しむ気持ちは今の時代と変わらないですよね。
嫉妬心と女としての辛さがわかります。
一人で寝る夜の寂しさ
”嘆きつつ 一人寝る夜の あくる間は いかに久しき ものとかは知る”
(あなたがおいでにならないことを嘆きながら、一人で寝る夜が明けるまでの間が、どれほど長いものか、あなたにおわかりでしょうか、いえおわかりではないでしょう)
藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)がこの歌を詠んだのは結婚をして一年ほど経ったころで、まだラブラブの頃なのです。
この頃には夫の兼家には別の女性がいました。それも自分より身分も容姿も劣る女ということで、道綱母は嫉妬に狂ったということです。
道綱母はとても美しい女性だったということです・・・・。
ね!時代は流れても今と変わらないでしょ?
容姿が素晴らしくて学歴の高い女性の夫が自分より不細工な女に手を出すと、奥さんはプライドがズタズタになってしまうことも!
道綱母はしおれた菊と一緒に夫にこの歌「嘆きつつ 一人寝る夜の あくる間は いかに久しき ものとかは知る」を贈ったということで、コワッ!ですね。
それで夫からの返事は、
”げにやげに 冬の夜ならぬ 真木の戸も 遅くあくるは わびしかりけり”
(なるほど本当に、冬の長い夜が明けるのを待つのもつらいが、冬の夜でもない門がなかなか開かないのは、つらいものだなあ)
この本「眠れないほどおもしろい恋する古文」ー王朝の美女と貴公子篇ー板野博行著にも書かれていますが、夫からの返事は少しふざけたような感じです。
20年の結婚生活
道綱母が「蜻蛉日記」(かげろうにっき)を書いたのは、20年ほどの結婚生活の終わり頃だということで、結婚生活を回想して書かれています。
結構恨みつらみが多く、失敗した結婚生活だったのかも知れませんね。
”かく年月は積もれど、思ふやうにもあらぬ身をし嘆けば、声あらたまるも喜ぼしからず、なほものはかなきかの心地するかげろうふの日記といふべし。”
(こうして長い年月が経ったが、思い通りにならないわが身をただ嘆いていると、年が改まってもうれしい気持ちにはならず、やはり、何かとはかないことを思うと、あるかないかわからない心地のする「蜻蛉日記」よ呼ぶことにしよう)
まとめ
「眠れないほどおもしろい恋する古文」ー王朝の美女と貴公子篇ー板野博行著 では万葉集・伊勢物語・枕草子・和泉式部日記・源氏物語・・・の姫君と貴公子たちの恋の物語が綴られています。
時代が変わっても、描かれている人たちの心は今の時代の人たちとそれほど変わらないのです。
恋物語だけではなく、結婚生活や日常の問題も今の時代と変わらないこともあったりします。
「人生の矛盾」に苦しむことも昔からあったのだと改めて感じました。
恋することに悩む現代の人たちにも参考になる歌が揃っていますので、是非、読んでみてください。