福島県須賀川市に伝わる昔話「狸森(むじなもり)の託善和尚」を紹介します。
福島県の中通りの中部にある須賀川市に伝わり続けている昔話はたぬき和尚の話となりますが、狸森と書いて「むじなもり」と読みます。
もともとは杉森村と言われていたとのこと。
実際に福島県須賀川市 経塚山の山頂には託善和尚の持ち物が埋められているそうです。
福島民話館「狸森(むじなもり)の託善和尚」YouTube動画紹介
狸森(むじなもり)は昔は杉森村と言われていました。
今から500年以上も前の話です。その村に宗徳寺(そうとくじ)というお寺がありました。
宗徳寺(そうとくじ)に託善和尚(たくぜんおしょう)というかしこくて立派で働き者のお坊さんがいました。
信仰もあつい村人たちがいつも訪ねていました・・・
「ムジナ」というのは「アナグマ」のことを指すのですが、時代や地方によっては、狸だったり、ハクビシンだったりするようです。
この話では狸のことです。
福島県民話館「狸森の託善和尚」のあらすじとYouTube動画
このYouTube動画は水墨画調となっており、大変良い作品だと思いました。
福島県の各地で伝承されており、語り継がれてきたものです。
また、この話には、動物と人間の関係性や、貧しい人々が生きる上での支援の大切さなど、様々なテーマが含まれているため、大人から子供まで幅広い層に愛されています。
狸森(むじなもり)はとても静かな所でした。
狸森の起源は、500年以上前の話に遡ります。当時、この地域は「杉森村」と呼ばれていました。
杉森村には、宗徳寺(そうとくじ)という立派な寺院があり、そこには賢くて立派な村人たちからも深く尊敬されたお坊さん、託善和尚(たくぜんおしょうがいました。
いつも人々で賑わうお寺でした。それは村人から慕われていた託善和尚(たくぜんおしょう)がいたからでした。
ある日、目の不自由な和尚が訪ねてきました。
目の不自由な和尚は託善和尚と宗徳寺で修行することになりました。
ある時、会津若松のお寺で多くのお坊さんが集まる大法要が行われることになりました。
託善和尚はそこで手伝いをすることになりました。
江湖会というこの法要には、方々から100人以上のお坊さんたちが集まり、修行に励んでいました。その中でも、託善和尚は目覚ましく働き、会の進行や賄いなど、あらゆる面で人並み外れた努力をしています。
ところが、十数日が経ったある日、託善和尚は疲れ切って休むことにしました。しかし、翌日になっても彼はまだ起きる気配がありませんでした。
託善和尚は人間わざとは思えないほど良く働き、すっかり疲れてしまい、眠り込んでしまいました。
ずっと寝ているので、心配になった目の不自由な和尚は、託善和尚に触れて起こしてみると、獣のような毛が生えていてしっぽまであったのです。
目の不自由な和尚はすっかり驚いてしまいました。
託善和尚は仏様にお仕えしてご利益を得ようとしていた、とても頭の良い、何でもできる立派な狸(むじな)=狸(たぬき)のお坊さんだったのです。
福島県内各地に伝わる民話を多くの個性的なCGアーティストによって以前アニメ化されました。
託善和尚の経文などが宗徳寺の向かい山に埋まっているそうです。
この頃から村の名前は杉森から狸森(むじなもり)と呼ばれるようになったのだとか・・・。
託善和尚の経文などが埋まっているとされる山は経塚山(きょうづかやま)と言われ、山頂には託善和尚の碑が立っています。
ムジナの嫁入り
まったく違う話となりますが、福島県喜多方市のムジナの話です。
10月10日にすり鉢を被って、すりこぎを腰にさして、腹ばいになって豆柿の木の下に行くとムジナの嫁入りが見られる。 その頃は月夜が綺麗なものだ。 喜多方には今はないのだが、その頃には大きな豆柿の木があったので、ムジナの嫁入りが5組くらいは見られるという。
実際に行こうとした方の話によると、味噌をすったあとで、すり鉢を被ったので臭くてしょうがなかったので止めたということです。(会津・山都の民話より)
囲炉裏にかけた鍋のススに、赤い火がついたり消えたりすると、ムジナの嫁入りだという。
これは福島県喜多方市に伝わる話です。
狸とムジナ狸とムジナは全然違うはずなのに一緒になっているような話があります。 どうしてなのでしょう? こんな話がありました。
狸は不精で自分の穴をつくるのもめんどくさがって、ムジナの巣穴に良く転がり込む。 ムジナは働き者でその穴でいくつも部屋をつくり出口も別にする。 巣穴にカヤを敷いてフトンにしている。 天気の良い日はフトンを干して、雨が降りそうだとフトンをしまう。
ということです。狸はちゃっかりしていますね。
おわりに
ムジナはおもにアナグマのことなのですが、民話や伝説では狸だったりハクビシンみたいなのが出てきたりします。
地方によって言い伝えられてきた話が違うからなのでしょうね。
